ブランド薬からジェネリック薬に切り替えるときの注意点

投稿者 安藤香織
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12月
ブランド薬からジェネリック薬に切り替えるときの注意点

薬の価格が高くて困っているなら、ジェネリック薬への切り替えは本当に有効な選択です。日本でも、医療費削減のため、病院や薬局でジェネリック薬が積極的に勧められるようになっています。でも、いきなり薬の名前や形が変わると、不安になるのは当然です。「効果は同じ?」」「副作用が出ない?」そんな疑問、たくさんありますよね。実際に、多くの人がジェネリック薬に切り替えてから、体調に変化を感じたという話も耳にします。

ジェネリック薬は本当に同じですか?

結論から言うと、ジェネリック薬は、ブランド薬と同じ有効成分を、同じ量、同じタイミングで体に届けるように作られています。アメリカのFDA(食品医薬品局)や日本の厚生労働省は、ジェネリック薬がブランド薬と「生体同等性」を持つことを厳しくチェックしています。つまり、薬が体内で吸収されるスピードや量が、ブランド薬とほぼ同じ範囲(80~125%)に収まらなければ、販売できません。

だから、理論的には、脳の神経を落ち着かせる薬、血圧を下げる薬、甲状腺のホルモンを補う薬など、どれもジェネリックで問題ないはず。実際、アメリカのデータでは、処方された薬の90%以上がジェネリックです。年間で3700億ドルもの医療費が節約されています。日本でも、ジェネリック薬の利用率は年々上がり、2025年には70%を超えています。

でも、なぜ「効かなくなった」と感じる人がいるの?

ジェネリック薬が「効かない」と感じる人の多くは、実は「薬の形」や「成分の違い」に気づいていないだけです。ジェネリック薬は、ブランド薬と同じ有効成分ですが、着色剤や安定剤などの「不活性成分」は、メーカーによって異なります。そのため、形や色、大きさが変わることがあります。例えば、赤い丸い錠剤から、白い四角い錠剤に変わったら、それは同じ薬だと分からなくなるのは自然なことです。

特に、てんかんワーファリンレボチロキシン(甲状腺ホルモン)などの薬は、体に与える影響が非常に細かく、わずかな濃度の違いでも症状が悪化することがあります。実際に、ある患者さんは、ブランドのレボチロキシンからジェネリックに切り替えた後、甲状腺機能の数値(TSH)が2.5から8.7に急上昇。医師に相談して、再びブランド薬に戻したら、数値は元に戻りました。このようなケースは、まれですが、存在します。

なぜなら、これらの薬は「治療指数が狭い薬」と呼ばれます。つまり、効果が出る量と副作用が出る量の差がとても小さい。だから、ジェネリックに切り替えたとき、たとえ0.1%の吸収率の違いでも、体に大きな影響が出る可能性があるのです。

医師と薬剤師が甲状腺ホルモン値の変化を説明する臨床の場面。

ジェネリックに切り替えたとき、何に注意すべき?

ジェネリック薬に切り替えるとき、次の5つのポイントを意識してください。

  1. 薬の形や色が変わったときは、薬剤師に確認する:「これは以前の薬と同じですか?」と聞くだけで、不安が減ります。薬局では、薬の容器に「ジェネリック薬」と明記してある場合もあります。
  2. 体の変化に気づいたら、すぐに医師に伝える:頭痛がひどくなった、眠気が増した、気分が落ち込む、痙攣が増えたなど、新しい症状が出てきたら、すぐに薬の切り替えと関係があるか相談してください。
  3. 同じジェネリックメーカーの薬を継続する:ジェネリック薬は、メーカーが変わると不活性成分も変わります。一年に何度もメーカーが変わる場合、体が戸惑うことがあります。薬剤師に「このメーカーの薬を続けてほしい」と伝えるのも選択肢です。
  4. コストと効果のバランスを見極める:ジェネリック薬は、平均して30~70%安く、1か月の自己負担が200円以下になることも。でも、もし切り替えで入院が増えたり、通院が増えたりすれば、かえって費用がかかる可能性があります。効果が安定しているなら、無理に切り替える必要はありません。
  5. 「ジェネリックは安物」と思わない:ジェネリック薬は、ブランド薬と同じ工場で作られることもあります。ただ、パッケージや名前を変えているだけ。FDAや厚労省の厳しい検査を通過しているので、品質は保証されています。

薬の切り替えは、医師と薬剤師の協力で安心に

日本では、ジェネリック薬への切り替えは「推奨」ですが、必ずしも「強制」ではありません。医師が処方箋に「ジェネリック使用不可」や「原研薬」と書けば、薬局はブランド薬を出します。特に、てんかんや心不全、抗凝固薬を飲んでいる人、高齢者、複数の薬を飲んでいる人は、医師とよく相談して、切り替えの必要性を検討しましょう。

薬剤師も重要な役割を果たします。薬局では、ジェネリック薬に切り替えたときに、患者さんに「薬の見た目が変わりました」と説明する紙を渡すのが一般的です。これは、患者が「違う薬を渡された!」とパニックになるのを防ぐためです。

さまざまな人がジェネリック薬を飲み続け、健康の平等を象徴する光の木につながっている。

ジェネリック薬の本当のメリットは「継続できる」こと

ジェネリック薬の最大の利点は、価格が安いからこそ、「薬を飲み続ける」ことができる点です。アメリカの調査では、ブランド薬の初回購入を諦める患者の割合は、ジェネリックの2.6倍も高いとされています。薬が高すぎて、1か月分を買えない、という人がたくさんいます。その結果、病気が悪化し、病院に通う回数が増え、結果的に医療費はもっとかかるのです。

日本でも、高齢者や低所得者にとって、薬の費用は大きな負担。ジェネリック薬が普及することで、多くの人が「薬を飲み忘れる」ことなく、毎日きちんと治療を受けられるようになります。それは、命を守ることに直結します。

結局、ジェネリック薬は「安全」なの?

はい、ほとんどの人にとって、ジェネリック薬は安全で、効果も同じです。アメリカの患者1245人を対象にした調査では、78%が「ジェネリック薬の効果は良いか非常に良い」と評価しています。日本でも、薬を切り替えた後、3か月経った時点で82%の人が「満足している」と答えています。

ただし、それは「体が慣れた」からです。最初の数週間は、形が変わったこと、名前が変わったことで、不安や疑念が生じるのは自然。でも、体が薬に慣れてくれば、ほとんどの人が、元のブランド薬と変わらないと感じます。

もし、切り替えてから「体に変化が起きた」と感じたら、それはジェネリックのせいではなく、あなたの体が新しい成分に反応しているサインです。すぐに医師に相談してください。薬をやめるのではなく、薬の種類やメーカーを変えることで、解決できる可能性があります。

ジェネリック薬は、医療の未来を支える重要なツールです。安さだけでなく、継続性、公平性、健康の平等を実現する力を持っています。だからこそ、正しい知識を持って、安心して使えるようにすることが大切です。あなたが今飲んでいる薬が、ジェネリックに変わったとしても、それは「安くて粗悪な薬」ではなく、「信頼できる、同じ効果の薬」なのです。

1 コメント

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    Midori Kokoa

    12月 15, 2025 AT 17:52

    ジェネリックに切り替えた後、頭がぼーっとするようになったので医者に相談したら、同じ成分でも不活性成分の違いが原因だった。薬剤師の説明、ちゃんと聞いておけばよかった。

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