肝機能検査と聞いて、何を思い浮かべますか?ALTやAST、ビリルビンの数値が高かったからといって、必ずしも肝臓に病気があるわけではありません。逆に、数値が正常でも、肝臓に隠れた問題がある場合もあります。この検査は、肝臓が「どれだけ機能しているか」を直接測るものではなく、肝臓がどれだけ損傷を受けているかを示す指標です。専門家たちは、この呼び名自体が誤解を招くと指摘しています。
ALTとAST:肝細胞の破壊を示すエンザイム
ALT(アラニンアミノトランスフェラーゼ)とAST(アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ)は、肝細胞の中に多く含まれる酵素です。肝臓が損傷を受けると、これらの酵素が血液中に漏れ出します。その量が、損傷の程度をうかがわせます。
ALTは、肝臓に特異的です。筋肉や心臓にはほとんど含まれていません。だから、ALTが上がったら、まず肝臓を疑います。一方、ASTは肝臓だけでなく、心臓や筋肉にも存在します。心筋梗塞や激しい運動の後にも上昇することがあります。だから、ASTだけが高いからといって、肝臓の病気とは限りません。
正常値は、検査機関によって少し違います。一般的には、ALTが7~55 U/L、ASTが8~48 U/Lとされています。しかし、男性は女性よりやや高く、肥満(BMI 30以上)の人では、正常値が10~15%ほど高くなることも分かっています。つまり、BMIが35の人がALTが50だったとしても、必ずしも異常とは言えないのです。
ALTが10倍以上、ASTが5~6倍と急激に上昇している場合、急性ウイルス性肝炎や薬物性肝障害(特にアセトアミノフェン過剰摂取)の可能性が高くなります。1,000 U/Lを超えると、これは「緊急事態」のサインです。すぐに医療機関を受診する必要があります。
AST/ALT比:アルコール性肝障害の鍵
ALTとASTの値を単独で見るのではなく、その比率(AST/ALT比)を見るのが重要です。この数字は、肝臓の病気の原因を推測するカギになります。
アルコール性肝障害では、ASTがALTよりも高く出ることが多いです。ASTがALTの2倍以上、つまりAST/ALT比が2.0を超えると、アルコール性肝炎の可能性が非常に高くなります。90%以上のケースでこの比率が1以上になります。これは、アルコールが肝細胞のミトコンドリアを直接破壊し、ASTがより多く放出されるためです。
一方、非アルコール性脂肪肝炎(MASLD)やウイルス性肝炎では、ALTがASTより高く出るのが普通です。AST/ALT比は1未満です。特に、肥満や糖尿病の人がALTがやや高めで、ASTが正常に近い場合、MASLDの可能性が高いです。
ASTが500 U/L以上で、ALTがそれほど高くない場合、アルコールだけでは説明できません。薬物中毒(特にアセトアミノフェン)や急性ウイルス性肝炎を疑う必要があります。アルコールを飲んでいる人でも、ASTが500を超えると、他の原因を必ず調べる必要があります。
ビリルビンとALP:胆汁の流れが止まっているサイン
ALTやASTが肝細胞の「壊れ具合」を示すなら、ビリルビンとALP(アルカリホスファターゼ)は「胆汁の流れ」を示します。
ビリルビンは、古くなった赤血球が分解されてできる物質です。肝臓はこれを処理して胆汁に混ぜ、腸へ送ります。肝臓や胆管が詰まると、このビリルビンが血液中にたまり、皮膚や白目が黄色くなります(黄疸)。
ビリルビンの正常値は3~17 μmol/Lです。この値が上がるのは、肝細胞が機能低下している場合(肝炎)か、胆管が詰まっている場合(胆管閉塞、胆石、がん)です。特に、直接ビリルビン(結合型)が高く出れば、胆汁の流れの問題が強いサインです。
ALPは、胆管の細胞に多く含まれる酵素です。胆管が詰まると、ALPが急激に上昇します。ALPがALTの3倍以上高い場合、胆汁うっ滞(コレステーシス)のパターンと判断されます。胆石や胆管がん、原発性胆汁性胆管炎の可能性があります。
しかし、ALPだけが上がっている場合、骨の病気(骨折、骨腫瘍、骨粗しょう症)の可能性もあります。ALPは肝臓と骨の両方に存在するため、肝臓の問題ではない可能性を排除するために、GGT(ガンマ-GT)という酵素の値も見ます。GGTも上がれば、肝臓由来と判断できます。
アルブミンとPT:肝臓の「本物の機能」を知る
ALTやASTは「損傷」の指標ですが、アルブミンとPT(プロトロンビン時間)は、肝臓が「本当の機能」を果たしているかを示す指標です。
アルブミンは、肝臓が作るたんぱく質です。血液の浸透圧を保ち、栄養を運ぶ役割があります。この値は、肝臓が長期間、機能低下している場合にしか下がりません。なぜなら、アルブミンの半減期は20日と長いからです。数週間も肝臓が悪化していないと、アルブミンは下がりません。
一方、PTは、血液を固めるためのたんぱく質(凝固因子)の合成能力を測ります。これらの因子は、ビタミンKを使って肝臓が作ります。PTが長くなる(INR値が上がる)ということは、肝臓が急激に機能を失っているサインです。これは、急性肝不全や肝硬変の末期でよく見られます。
つまり、ALTやASTが少し高めでも、アルブミンとPTが正常なら、肝臓はまだ「本質的な働き」を維持しています。逆に、ALTやASTが正常でも、アルブミンが低く、PTが長いなら、深刻な慢性肝疾患の可能性があります。
数値がちょっと高め…どう対応する?
多くの人が、ALTが60や70 U/Lと少し高めの結果を見て、パニックになります。しかし、健康な人の10~15%は、ALTが1.5倍以内の範囲で高めに出ます。これは、軽い脂肪肝、運動後、一時的な薬の影響、または単なる個人差かもしれません。
アメリカ肝臓学会(AASLD)の2023年のガイドラインでは、ALTやASTが2倍以下で、他の異常がない場合は、すぐに画像検査や肝生検をする必要はないとされています。まずは、3~6ヶ月後に再検査しましょう。飲酒をやめる、糖分や油の多い食事を減らす、体重を減らす--これらが最初のステップです。
一方、ALTやASTが500 U/Lを超える、または1週間で100 U/L以上急上昇した場合は、すぐに専門医を受診すべきです。これは、急性肝不全の前兆かもしれません。
また、脂肪肝の診断では、「NAFLD(非アルコール性脂肪肝)」という言葉は、2023年から「MASLD(代謝機能障害関連脂肪肝)」に変わりました。これは、単なる脂肪の蓄積ではなく、代謝の異常(肥満、糖尿病、高脂血症)が原因であることを明確にするためです。MASLDでは、ALTがASTより高く、GGTも上昇することが特徴です。
肝機能検査だけでは不十分なとき
肝機能検査は、肝臓の「状態」を知るための最初のステップです。しかし、それだけでは「なぜ」その状態になっているのかはわかりません。
例えば、ALTが高くて、肥満で糖尿病がある人なら、MASLDの可能性が高いです。しかし、ALTが高くて、ウイルス性肝炎のリスクがある人なら、B型やC型肝炎の検査が必要です。アルコールの摂取量、薬の服用履歴、家族歴--これらを合わせて判断しなければ、誤診のリスクがあります。
2021年の研究では、1万2,450人のデータを分析したところ、肝機能検査だけでは、進行性の線維化(肝硬変の前段階)を68%の精度で見つけられましたが、それに「FIB-4」という非侵襲的スコア(年齢、AST、ALT、血小板数から計算)を加えると、精度が89%まで上がりました。
今後は、肝機能検査に「ELFテスト」(増強肝線維化検査)を組み合わせることで、より早期に肝硬変を発見できるようになっています。2024年のランセット誌の研究では、AST/ALT比とELFテストを組み合わせると、F3~F4(重度の線維化)の検出感度が92%に達しました。
まとめ:肝機能検査の読み方のポイント
- ALTが高く、ASTが低い → 病毒性肝炎やMASLDの可能性
- ASTがALTの2倍以上 → アルコール性肝障害の強いサイン
- ALPとビリルビンが高く、ALTはそれほど高くない → 胆管の詰まり(胆汁うっ滞)
- ALTやASTが1,000 U/L以上 → 緊急事態。直ちに医療機関へ
- アルブミンが低い、PTが長い → 肝臓の機能が深刻に低下している
- ALTが60~80 U/L程度で、他に異常なし → まずは生活習慣の見直し。再検査を待つ
肝機能検査の数値は、単なる数字ではありません。あなたの生活習慣、体の状態、そして肝臓の健康を映す鏡です。数値が少し高かったからといって、すぐに「肝臓が悪い」と決めつけず、その背景にある原因を探ることが、本当の健康への第一歩です。
門間 優太
12月 22, 2025 AT 15:18ALTとASTの違い、ちゃんと理解してたのは久しぶりだな。医者に『ちょっと高めだけど大丈夫』って言われて放置してたけど、この記事読んでちょっと不安になってきた。
TAKAKO MINETOMA
12月 23, 2025 AT 04:35ALTが高めでもアルブミンとPTが正常なら、肝臓はまだ頑張ってるってことね。この見方、すごく安心する。私も去年、ALTが65でパニックになったけど、生活習慣見直して3ヶ月後に52まで下がったんだ。焦らず、ゆっくりが大事だよ!
kazunari kayahara
12月 24, 2025 AT 10:12AST/ALT比2超えたらアルコール疑え、っての、めっちゃ役立つ!友達が『週に2回ビール』って言ってたけど、ASTがALTの2.5倍で、結局アルコール性肝炎だった。医者に『そんなに飲んでない』って言ったら、『じゃあ肝臓のMRIとる?』って言われて、黙った(笑)
優也 坂本
12月 25, 2025 AT 08:02ああ、また『生活習慣見直して』って定番のアドバイスか。それなら医療機関がちゃんと検査を進化させろよ。ELFテストもFIB-4も保険適用になってないだろ?病院は『数値だけ見て、薬出せないから』って患者を放置してるんだよ。結局、金持ちだけが早期発見できる社会だよ。
JUNKO SURUGA
12月 25, 2025 AT 21:56ビリルビンとALPの話、すごくわかりやすかった。母が胆石で黄疸になって、『肝機能異常』って言われてたけど、実は胆管詰まりだった。この記事、母に送ろうかな。
Ryota Yamakami
12月 26, 2025 AT 11:46ALTが1000超えたら緊急って、思ってたよりずっと低いな…。僕の上司、前日まで残業してたのに、翌朝急にALTが1200ってなって、救急搬送されたんだよね。結局、アセトアミノフェンの過剰摂取だった。薬の飲みすぎ、ほんと怖い。
yuki y
12月 27, 2025 AT 17:27ALTとASTの違いわかんなかったけどこれでやっと理解できたありがとう!
Daisuke Suga
12月 27, 2025 AT 21:29この記事、医師が書いたのか?いや、臨床現場で働いてる人が書いたに違いない。ALTとASTの比でアルコール性肝炎を推測する話、俺が3年前に救急で見た患者にぴったり当てはまってる。40代の男性、週末だけ飲んでるって言ってたけど、ASTがALTの3倍。肝生検したら、ミトコンドリアがぐちゃぐちゃになってた。アルコールのダメージって、『週末だけ』じゃ済まされないんだよ。肝細胞は毎日、少しずつ死んでる。気づかないうちに、肝臓は『静かに崩れてる』。だから『ちょっと高め』って言葉が、実は一番危険なんだ。医療現場でよくあるのが、『数値が基準値内』って言葉で、患者を安心させること。でも基準値って、『健康な人』の平均値でしかない。肥満の人、高齢者、運動選手、毎日お酒飲んでる人、みんな違う。肝臓の『正常』って、人それぞれなんだよ。だから、『あなたは正常』って言われたって、安心しちゃいけない。肝臓は沈黙の臓器。痛みが出る頃には、もう手遅れ。だから、ALTが60でも、アルブミンが下がってたら、それは『慢性の沈黙の叫び』だ。医者は『再検査』って言うけど、その3ヶ月の間に、肝臓はもう10%、20%、機能を失ってるかもしれない。検査は道具じゃない。鏡だ。自分の生活が、どれだけ肝臓を殺してるか、ちゃんと見つめなきゃ。そして、MASLDって名前が変わったこと、すごく大事。脂肪肝って、『脂肪がたまってる』ってイメージで、『別に病気じゃない』って思われてる。でも、それは代謝の異常が全身を蝕んでるサインなんだよ。糖尿病、高血圧、脂質異常症、全部つながってる。肝臓は、体の『毒出し機』。それが壊れたら、全身が毒まみれになる。だから、この記事、ただの解説じゃない。『生き延びるための警告』だ。
Hideki Kamiya
12月 29, 2025 AT 07:00あー、この記事、製薬会社の広告だよね?ELFテストとかFIB-4とか、保険適用になってないのに『新しい検査』って煽ってる。実は、肝臓の数値が高めの人に、どんどん高額検査を勧めて、医療費を増やしてるだけ。あんなの、全部『不安を売る』商売だよ。俺の叔父は、ALTが高くて、『肝がんの前兆』って言われて、MRIとCTと生検で100万円使った。結果、脂肪肝。全部無駄遣い。医者は『予防』って言うけど、本当は『儲け』だよ。笑
Keiko Suzuki
12月 30, 2025 AT 05:56ALTとASTの違い、とてもわかりやすく説明されていて、患者への説明に活用させていただきます。特に、AST/ALT比の重要性と、アルブミンとPTの意義は、臨床現場で非常に重要なポイントです。ありがとうございます。
花田 一樹
12月 30, 2025 AT 08:14ああ、また『生活習慣改善』ってやつか。でもさ、それって、『あなたが悪い』って言ってるのと同じだよね?仕事でストレス溜まって、コンビニ飯ばっか、睡眠不足、それって現代社会のせいじゃない?肝臓が悲鳴を上げてるのに、『あなたが悪い』って言われて、また自己嫌悪に陥るだけ。俺、去年、ALTが80で、『ダイエットと運動』って言われて、3ヶ月で10キロ落として、ALTは45になった。でも、心はボロボロだった。肝臓は治ったけど、心はまだ壊れてる。数値より、心の健康の方が大事だよ。
EFFENDI MOHD YUSNI
12月 31, 2025 AT 01:07肝機能検査の数値は、すべて『政府の陰謀』だ。WHOが2020年に、『肝臓の正常値を引き上げる』という国際基準を策定した。なぜか?国民の健康を守るためじゃない。医療費削減のためだ。ALTの上限を55から70に引き上げれば、『異常』と診断される人が半減する。病気の数が減れば、保険金の支払いも減る。そして、その裏で、『ELFテスト』『FIB-4』『GGT』と、次々と高額検査が導入される。すべては、『検査ビジネス』のため。肝臓は、人間の『監視装置』だ。数値が高ければ、『あなたは危険』と烙印を押される。でも、本当に肝臓が悪いのか?それとも、『健康な人』が『病気』にされたのか?この記事、まるで、『正常』の定義を、企業と医療機関が勝手に変えていることを隠している。そして、あなたは、その『正常』に従って、自己検査をし、自己責任を背負わされる。肝臓は、あなたの体じゃない。システムの道具だ。
JP Robarts School
12月 31, 2025 AT 17:41ALTが高めの人に『お酒やめろ』って言うのは、単なる差別だ。アルコールを飲まない人でも、ALTが高くなるケースは山ほどある。なのに、『飲んでるんでしょ?』って言われて、社会的烙印を押される。俺の同僚、ビーガンで、週1回のビールすら飲まないのに、ALTが110。医者に『脂肪肝』って言われた。でも、彼の食事は、玄米と豆と野菜だけ。運動もしてる。でも、肝機能は悪い。なぜ?環境ホルモンだ。プラスチック、農薬、食品添加物。これらが、肝臓をじわじわと破壊してる。でも、誰も言わない。『あなたが悪い』って言うのは、簡単だ。でも、本当の敵は、『見えない毒』だ。この記事、その真実を隠してる。
Mariko Yoshimoto
1月 2, 2026 AT 04:51ALTとASTの比、AST/ALT=2.0…という表現は、数学的厳密性を欠いています。比は「2.0」ではなく、「2」または「2:1」と記述すべきです。また、「ELFテスト」は、正確には「Enhanced Liver Fibrosis」であり、略語の定義を明示すべきでした。この記事、専門性は高いですが、言語的正確性に欠けています。
HIROMI MIZUNO
1月 3, 2026 AT 14:34ALTが高めでも、アルブミンとPTが正常なら大丈夫って、本当にホッとしました!私も去年、ALTが68で、『ちょっと脂肪肝かも』って言われて、もう死ぬのかと思ってた…。でもこの記事読んで、『まだ肝臓、頑張ってる』って思えて、涙出た。生活変えたら、今、ALTは52!やったー!
Daisuke Suga
1月 4, 2026 AT 05:05あ、さっきのコメント、ちょっと熱くなりすぎたかも。でも、肝臓の話、本当に大事だよ。俺、3年前に肝がんの疑いで入院した。結果、ステージ0の良性腫瘍だった。でも、そのとき、ALTは1200超えてた。医者は『これだけ高ければ、普通は死んでる』って言った。でも、俺は、毎日、コンビニ弁当とビールで、2年間、肝臓を殺してた。その間、『ちょっと高め』って言われて、『大丈夫』って信じてた。肝臓は、『痛くない』から、『大丈夫』って思ってしまう。でも、それは、『死んでる』ってこと。だから、ALTが60でも、100でも、『ちょっと』じゃなくて、『あなたが、今、肝臓を殺してる』ってことだよ。そして、それが、あなたが『普通の生活』を送ってるってこと。この記事、ただの解説じゃない。『あなたが、今、生きている理由』を教えてくれてる。