あなたの手に届く薬が、本当に安全なのか? ジェネリック薬は、ブランド薬と同等の効果をもたらす、安価な代替品として広く使われています。でも、その中には、偽造ジェネリック薬が紛れ込んでいる可能性があります。これは、外見は本物そっくりでも、有効成分がゼロだったり、有害な化学物質が入っていたりする、命を脅かす偽物です。2024年、国際薬品保安研究所(PSI)は、世界で6,424件の偽薬事件を確認しました。2020年と比べて38%増です。その多くが、糖尿病や肥満治療薬、抗生物質、ED薬など、日常的に使われるジェネリック薬です。
偽造薬はどこから来るのか
本物のジェネリック薬は、FDAやEMAなどの規制機関が厳しく審査し、本薬と同等の効果があることを証明してから市場に出ます。でも、偽造薬はそのようなチェックを一切受けません。中国、インド、東南アジアの違法工場で作られ、オンラインショップやSNSを通じて、あるいは正規の薬局に紛れ込んで、あなたの手元に届きます。
2025年8月、アメリカのアイオワ州の薬局が2万5,000ドルの罰金を科されました。なぜか? 偽のOzempic(オゼンピック)を売っていたからです。同じく、アメリカ税関は2023年9月から2025年1月の間に、2,465件のセマグルチドやティルゼパチドの大量輸送を検査。そのうち195件が、法律で禁止されているにもかかわらず、不正に国内に流入していました。
偽薬の販売は、正規の薬局でも起こっています。特に、海外から直接注文するオンライン薬局は危険です。米国医師会(JAMA)の2025年7月の報告によると、物理的な店舗の住所を隠しているオンライン薬局の50%は偽薬を売っています。さらに、89%は処方箋なしで薬を売っています。あなたが「カナダの薬局」と称するサイトから買った薬が、実は中国の地下工場で作られていた可能性は、決して低くありません。
偽薬の特徴:本物とどう違うか
偽造薬は、外見で見分けるのが非常に難しいように作られています。パッケージの色、ロゴ、文字のフォントまでも本物そっくり。でも、いくつかの小さな違いが見逃せません。
- パッケージにスペルミスがある(例:"Ozempic"が"Osemic"と印刷されている)
- 製造番号(NDCコード)が正しくない、または存在しない
- 薬の色、形、大きさが以前と違う(同じメーカーでも、製造ロットによって多少の差はありますが、突然大きく変わっているなら注意)
- 薬の匂いが変(本物は無臭か、軽い薬の匂いですが、偽物は化学薬品のようなにおいがすることがあります)
- カプセルや錠剤が砕けやすく、溶け方が不自然
2022年の研究では、偽薬の52.8%が有効成分をまったく含んでいない、または危険な代替物質が使われていると判明しています。例えば、糖尿病の治療薬にインスリンが入っていなければ、血糖値は下がりません。ED薬にシルデナフィルが含まれていなければ、効果はゼロ。そして、その代わりに、有毒な物質(例:バイアグラの偽物に含まれていたアミノ酸の過剰添加や、抗生物質の偽物に含まれていた殺虫剤成分)が入っている場合、肝臓や腎臓に深刻なダメージを与えることがあります。
偽薬の恐ろしい実態:命に関わるリスク
偽薬の最大の危険は、効かないことではなく、あなたが病気の治療を続けていると思い込んでしまうことです。
2025年8月、南アフリカのゲケルハで、220万ランド(約200万円)分の偽薬が押収されました。これらは、糖尿病や高血圧の患者に売られていたもので、患者は「薬を飲んでいるのに、体の調子が変わらない」と感じていたのです。実際には、薬が全く効いていなかったのです。
レッドディットのコミュニティでは、ユーザーが「Ozempicを3ヶ月飲んだが、体重も血糖値も一切下がらなかった」と投稿しています。検査した結果、その薬は偽物だと判明。同じような体験が、世界中で起きています。
アフリカの一部地域では、薬の70%が偽物だとWHOは推定しています。抗生物質の偽物が広まれば、細菌が耐性を獲得し、本当に効く薬がなくなるという「抗生物質耐性」の危機が加速します。世界保健機関は、2050年までに年間1,000万人が抗生物質の効かない感染症で死亡すると予測しています。その一因が、偽造薬です。
偽薬を避けるための5つの具体的な方法
偽薬に出会うリスクを減らすには、行動を変える必要があります。以下は、今日からできる実践的な対策です。
- 正規の薬局で買う:米国では、VIPPS(Verified Internet Pharmacy Practice Sites)の認証マークがある薬局だけを利用してください。日本では、厚生労働省が認可した「処方せん薬局」や「調剤薬局」で購入しましょう。ネットで「激安」「海外直送」を謳うサイトは、ほぼ100%危険です。
- 製造番号(NDC)を確認する:薬の箱に印刷されているNDCコードを、薬局のスタッフに確認してもらいましょう。または、FDAのオンラインデータベース(https://www.accessdata.fda.gov/scripts/cder/ndc/)で検索できます。コードが存在しない、またはメーカーと一致しない場合は、偽物の可能性が高いです。
- メーカーの認証ツールを使う:Novo Nordisk(オゼンピックのメーカー)は「Verify Your Pen」というアプリを提供しています。薬のペンに付いているQRコードをスキャンすると、本物かどうかを即座に確認できます。2025年第三季度だけで、210万回以上の認証が行われ、そのうち1.8%が偽物と判明しました。
- 薬の見た目をよく見る:初めて買う薬なら、包装の角が歪んでいないか、インクがにじんでいないか、シールが剥がれやすいかを確認してください。本物は精密に作られています。偽物は、どこかに「手作業」の跡が残っています。
- 効果がないなら、すぐに薬剤師に相談:薬を飲んで数日経っても、効果が感じられない。あるいは、体に異常な反応が出た。それは、薬が効かないだけではなく、偽物の可能性があります。すぐに薬局に持ち込み、検査を依頼してください。日本では、医薬品副作用被害救済制度で、偽薬による被害も対象です。
偽薬の増加はなぜ止まらないのか
偽薬の市場は、2025年現在、2,000億ドル(約30兆円)に達しています。その35%がジェネリック薬です。なぜ、こんなに増えるのでしょうか?
理由は3つあります。
- 利益が大きい:本物のジェネリック薬は、ブランド薬より80~85%安いですが、偽薬はさらに30~50%安い価格で売られます。手間は少ないのに、利益は爆発的です。
- 規制が追いついていない:特にアジアやアフリカでは、薬の輸出入を監視する体制が弱い。偽薬は、海運コンテナの中に混ぜられ、検査をすり抜けます。
- AIで偽装が進化している:2025年、偽薬のパッケージは、AIを使って本物のデザインをコピーするようになりました。文字のフォント、色の濃淡、ロゴの位置まで、人間の目では見分けがつかないレベルです。偽薬の製造者は、薬の効果を調べる代わりに、パッケージの正確さだけを研究しています。
一方で、対策も進んでいます。EUは2019年から、すべての薬にセキュリティ機能(QRコードやタッチセンサー)を義務付けました。インドは2023年から、有効成分の容器にQRコードを必須化しました。ブロックチェーン技術を使った追跡システムは、15カ国で導入され、偽薬の発生を22%削減しました。
あなたが今すぐできること
偽薬の問題は、政府や薬メーカーだけの責任ではありません。あなたが「安全な薬を求める」行動を取ることで、市場は変わります。
- 「安いから」という理由で、信頼できないオンライン薬局を使わない
- 薬を買うたびに、パッケージを一度はよく見る習慣をつける
- 偽薬を疑ったら、薬局や保健所に相談する。1件の通報が、10人の命を救う可能性があります
- 友人や家族に、偽薬の危険性を伝える。特に高齢者や慢性疾患の人は、騙されやすいです
2025年11月現在、日本では偽薬の発生はまだ少ないですが、海外からの個人輸入が増えるにつれて、リスクは高まっています。厚生労働省は、2025年11月1日に、セマグルチドやティルゼパチドなどの高リスク薬について、輸入時の検査を強化する新しいガイドラインを発表しました。これは、38の州の検察官が「即時対応を求める」声に応えたものです。
あなたが手に取る薬は、あなたの命を守るための道具です。その薬が偽物なら、それは、あなたを守るどころか、殺す道具になります。疑わしいと思ったら、信じるのではなく、確認してください。その一歩が、あなたとあなたの家族を守ります。
偽造薬は本当に効かないのですか?
はい、多くの偽造薬は有効成分が含まれていません。例えば、糖尿病の薬にインスリンが入っていなければ、血糖値は下がりません。ED薬にシルデナフィルがなければ、効果はゼロです。中には、有害な化学物質が入っている場合もあり、体に悪影響を及ぼす可能性があります。
正規の薬局でも偽薬が売られていることはありますか?
稀ですが、あります。2025年8月、アメリカのアイオワ州の薬局が偽のOzempicを販売していたことが発覚し、罰金を科されました。正規の薬局であっても、海外からの違法な薬の仕入れが行われている可能性があります。必ず、薬の包装やNDCコードを確認してください。
オンラインで薬を買うのは危険ですか?
非常に危険です。米国医師会の調査では、物理的な店舗の住所を隠しているオンライン薬局の50%が偽薬を売っています。89%は処方箋なしで薬を販売しており、法律違反です。海外から直接輸入するサイトは、規制が及ばないため、偽薬の温床になっています。
偽薬を見分けるアプリはありますか?
はい、メーカーが提供している認証アプリがあります。例えば、Novo Nordiskの「Verify Your Pen」は、Ozempicのペンに付いたQRコードをスキャンして本物かどうかを確認できます。2025年第三季度だけで210万回以上使われ、1.8%が偽物と判定されました。日本では、厚生労働省が推奨する「薬の真偽確認アプリ」はまだありませんが、海外の信頼できるアプリを参考にすることは可能です。
偽薬の被害にあったら、どうすればいいですか?
すぐに薬局や医師に相談し、その薬を保管してください。日本では、厚生労働省の「医薬品副作用被害救済制度」が適用される可能性があります。また、偽薬の通報は、薬事・食品衛生審議会や、日本薬剤師会にもできます。1件の通報が、他の人を守るきっかけになります。
依充 田邊
11月 28, 2025 AT 15:43あー、また偽薬かよ。俺の友達がOzempic飲んで体重減らんなくて、病院行ったら偽物だったって泣いてたわ。でもさ、そんなのネットで「激安!」って書いてるやつ買う方が悪いだろ。薬局で買うのが面倒くさいからって、命を賭けてるの?
AIでパッケージまで真似されるって…もう、パッケージ見ても信じられない時代なんだな。俺はもう、薬の箱を開ける前に手を合わせるようになった。神に祈るしかない。
でもさ、なんで日本はまだ対策が遅いの?アメリカはQRコードで即確認できるのに、日本は「薬剤師に聞いてください」って、まるで1990年代の対応だよ。もう、スマホでスキャンして「本物」って音が出るシステム、すぐ導入してよ。
偽薬の市場が30兆円って…この金、全部正規薬の研究に回せば、日本は世界一の医療大国になれるのに。でも、誰かが金儲けしてるから、止められないんだよね。悲しい。
俺の祖母は、高血圧の薬をネットで買った。効かなくて、倒れて救急車。でも、薬局は「私達は関係ない」って。結局、国が救済制度とか言ってるけど、被害者は泣き寝入り。正直、この制度、形骸化してる。
薬の色が違うって?もう、それだけじゃなくて、匂いが化学薬品みたいだって言ってる人、結構いるんだよ。俺の母も、糖尿病の薬、いつもと匂い違うって言っていた。でも、薬剤師に言ったら「ロット違いです」って。でも、ロット違いで匂い変わる?嘘だろ。
偽薬の52.8%が有効成分ゼロって、もう、殺人未遂だよ。これ、刑法で「薬物詐欺罪」作るべき。もっと重い刑にしないと、やる奴らは減らない。
「海外直送」って、日本語で書くとなんか安心感あるよね。でも、実際は中国の地下工場で、工場の犬が薬を混ぜてるかもしれない。笑えない。
でもね、一番怖いのは、自分が偽薬飲んでるって気づかないこと。効かないからって、薬を増量して、副作用で倒れる。そして、医者は「あなたが薬を正しく飲んでない」って言う。もう、このサイクル、終わらせようよ。
薬局で「これ、本物ですか?」って聞くのが、今や普通のマナーになるべき。誰かが「変だ」って言ったら、それを無視しないで。それが、私たちの命を守る最初のステップ。
Rina Manalu
11月 29, 2025 AT 01:00この記事、とても丁寧に整理されていて、感謝します。偽薬のリスクを、科学的データと実際の事例で示してくれている点が特に価値があります。
私は、高血圧の薬を毎月処方してもらっていますが、以前から「パッケージの角が少し歪んでいる」と感じていたことがありました。その時、薬剤師に確認したところ、ロット変更によるものだと説明され、安心しました。
しかし、この記事を読んで、その「説明」が本当かどうか、改めて疑う必要があると感じました。
これからは、NDCコードを必ず確認し、メーカーの認証ツールも活用しようと思います。
特に高齢の親がいる家庭では、この情報の共有が命を守る第一歩だと、強く思います。
薬剤師や医師に「これは本物ですか?」と聞くことは、恥ずかしいことではなく、正しい行動です。
ありがとうございました。
🙏