翼状片(いしょうへん)は、目の白い部分(鞄膜)から角膜へと伸びる、良性の組織増殖です。見た目は小さな翼のように三角形で、赤みを帯びた血管が目立つことがあります。この病気は「サーファーの目」とも呼ばれ、長時間の日光暴露が主な原因です。特に赤道付近や日差しが強い地域で多く見られ、視力に影響を与える可能性があります。症状が軽い場合は放置されがちですが、放置すると角膜に広がり、視界がぼやけたり、コンタクトレンズが使えなくなったりします。
翼状片はどのようにしてできるのか
翼状片の正確な原因はまだ完全には解明されていませんが、科学的に最も強く示されているのは紫外線(UV)の蓄積です。オーストラリアの研究では、30度以内の赤道近接地域に住む人の翼状片発症リスクが、それより北または南に住む人よりも2.3倍高いと報告されています。さらに、メルボルン大学の研究では、累積UV暴露量が15,000ジュール/平方メートルを超えると、発症リスクが78%上昇することが示されています。
紫外線は、目の表面の細胞にダメージを与え、炎症を引き起こし、組織が異常な形で増殖するきっかけになります。特に、砂浜、雪地、水面の反射でUVが強まる環境で長時間過ごす人、例えばサーファーや農業従事者、建設作業員に多く見られます。男性が女性より3:2の割合で発症しやすいのも、屋外労働の比率の違いと関係していると考えられています。
遺伝的要因も一部関与している可能性があります。ある研究では、親や兄弟に翼状片の歴史がある人は、そうでない人より40%高い発症率を示しました。しかし、他の研究では環境要因が85%を占めると結論づけており、遺伝よりも生活習慣が決定的だとされています。
症状と診断:いつ気づくべきか
初期の翼状片は、白目の内側(ほぼ95%が鼻側)に薄いピンク色の膜が現れるだけです。血管が目立ち、目がゴロゴロしたり、乾燥感や異物感を感じることがあります。この段階では視力に影響はなく、多くの人が「目が赤いな」と思って放置します。
進行すると、組織が角膜(黒目)へと伸び始めます。角膜に0.5mm以上侵入すると、角膜の曲率が変わり、乱視を引き起こす可能性があります。その結果、視界がぼやけたり、物が歪んで見えたりします。さらに、角膜の中央部まで達すると、光の屈折が乱れ、視力が大きく低下します。
診断は特別な検査は必要ありません。眼科医がスリットランプ顕微鏡を使って、10〜40倍に拡大して目の表面を観察すれば、翼状片か単なる「ピンゲクラ」かを区別できます。ピンゲクラは、角膜には伸びず、白目の部分だけに限られた黄色いしこりです。翼状片は角膜へと広がる点で、この2つは明確に異なります。
血液検査や画像診断は不要です。診断は、見た目と進行の様子で十分可能です。定期的な眼科検診で早期発見できるため、日光に長時間さらされる人は、年に1回は検査を受けるのが望ましいです。
進行を止める:保存的治療の実践
翼状片が小さく、視力に影響がない場合は、手術は必要ありません。重要なのは「進行を止める」ことです。
- UVカットサングラス:UV-AとUV-Bを99〜100%カットするものを選ぶ。ANSI Z80.3-2020規格を満たす製品が推奨されます。レンズの色は濃いほど効果があるわけではなく、UVカット率が重要です。
- 広いつばの帽子:サングラスと組み合わせると、紫外線の約50%を遮断できます。特に正午前後の強い日差しの時間帯は、帽子をかぶる習慣をつけましょう。
- 人工涙液:目のかゆみや乾燥が強い場合は、保存料のない人工涙液(例:OcuGel Plus)を使用すると、炎症を軽減し、進行を遅らせる効果があります。
- UV指数の確認:UV指数が3以上になると、目の保護が必要です。赤道地域では年間約200日がこのレベルを超えます。
RedditのEyeHealthコミュニティでは、「毎日UVカットサングラスを着用し続けたら、3年間で翼状片の成長が止まった」という投稿が複数あります。これは、単なる予防ではなく、進行の停止が可能であることを示す重要な証拠です。
手術が必要なとき:どの方法を選ぶか
翼状片が角膜の中心部に近づき、視力低下やコンタクトレンズの使用不能、強い不快感を引き起こす場合、手術が検討されます。現在、主な手術法は3つあります。
| 手術方法 | 再発率 | 回復期間 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| 単純切除 | 30〜40% | 2〜4週間 | 古い方法。再発が多いため、現在はほとんど使われていない。 |
| 結膜自己移植 | 約8.7% | 3〜6週間 | 患者自身の結膜を切り取り、切除した場所に移植。再発が少なく、最も信頼される方法。 |
| ミトマイシンC併用 | 5〜10% | 2〜4週間 | 抗がん薬を術中に使用。再発率を大幅に低下させるが、角膜への影響を考慮する必要がある。 |
| 羊膜移植 | 92% | 4週間 | 再発した場合の選択肢。2023年、欧州のガイドラインで推奨された最新法。 |
最も効果的なのは、結膜自己移植です。自分の健康な結膜を移植することで、異常な組織が再び育つ環境を防ぎます。ミトマイシンCを併用すれば、さらに再発率を下げられます。ただし、この薬は細胞の増殖を抑える力が強いため、角膜の治癒が遅れるリスクがあります。そのため、経験豊富な医師による慎重な使用が必須です。
手術時間は通常30〜40分で、日帰り可能です。麻酔は点眼麻酔のみで、全身麻酔は不要です。術後は、抗炎症の点眼薬を6〜8週間続けなければなりません。多くの患者が「点眼薬の管理が、手術より大変だった」と語っています。
手術後の注意点と再発のリスク
手術後、目が赤くなるのは正常な反応です。これは炎症のためで、通常2〜3週間で落ち着きます。しかし、32%の患者が18ヶ月以内に再発を経験しているのも事実です。再発の主な原因は、術後のUV保護が不十分だったことです。
再発を防ぐためには、手術後もサングラスと帽子を生涯使い続ける必要があります。また、人工涙液を継続することで、目の表面の健康を保つことができます。
「手術で治ったから安心」と思って、紫外線対策をやめてしまう人が多く、それが再発の最大の原因です。手術は「取り除く」ことではなく、「再発を防ぐための生活習慣のスタート」です。
未来の治療:新しい選択肢
2023年、FDAはOcuGel Plusという、翼状片術後の乾燥を和らげるための新しい人工涙液を承認しました。臨床試験では、従来の人工涙液より32%も症状の改善が見られました。
さらに、2024年には、ラパマイシン点眼液の臨床試験が進行中です。これは、異常な細胞の増殖を抑える薬で、12ヶ月後の再発率を67%減らす可能性があります。もし成功すれば、手術を避けて薬で管理できる時代が来るかもしれません。
2027年までには、レーザーによる翼状片除去が主流になると予測されています。従来の手術よりも侵襲が少なく、回復が早いのがメリットです。
まとめ:あなたの目を守るためにできること
- 翼状片は「目が赤い」だけの病気ではなく、視力を奪う可能性のある病気です。
- 日光に長時間さらされる人は、年に1回は眼科検診を受けましょう。
- UVカットサングラスと帽子は、予防の最強ツールです。安いものでも、UVカット率が100%なら効果があります。
- 手術が必要なのは、視力に影響が出たときだけです。早期発見すれば、手術を避けることができます。
- 手術後も、紫外線対策をやめないことが、再発を防ぐ鍵です。
翼状片は、誰にでも起こる可能性のある病気です。しかし、予防は簡単です。毎日の小さな習慣が、未来の視力を守ります。今すぐサングラスをかけましょう。それだけで、あなたの目は、10年後、20年後も、はっきりと物を見られる状態を保てるのです。
翼状片は癌ですか?
いいえ、翼状片は良性の腫瘍で、癌ではありません。ただし、角膜に広がると視力を妨げ、日常生活に支障をきたすことがあります。悪性化する報告は一切ありません。
サングラスはどれを選べばいいですか?
UV-AとUV-Bを99〜100%カットできる製品を選びましょう。色が濃いからといってUVカット率が高いわけではありません。ANSI Z80.3-2020規格を満たすものであれば信頼できます。レンズのサイズが大きく、横からの光も防げるタイプが最適です。
手術は痛いですか?
手術中は点眼麻酔を使うので、痛みはほとんどありません。術後は数日間、目がゴロゴロしたり、光がまぶしく感じることがありますが、これは正常な反応です。痛み止めの点眼薬でほとんどコントロールできます。
翼状片は両目で起こりますか?
はい、約60%の患者が両目に発症します。特に紫外線に長時間さらされる環境で生活している人では、両目同時発症が一般的です。片目だけにできる場合もありますが、片目で発症した人は、もう片目にもできる可能性が高いので注意が必要です。
子供にも翼状片はできますか?
はい、子供にもできます。特に赤道地域の子供で、屋外で長時間遊ぶ子どもに多く見られます。子供の瞳孔は大人より大きいので、紫外線の影響を受けやすいです。日焼け止めとサングラスの使用を、幼少期から習慣づけることが重要です。