ジェネリック薬は、薬価を抑えるために多くの人が頼っている存在です。でも、最近、ジェネリック薬の回収が増えてきています。なぜでしょうか? あなたの手元の薬が安全かどうか、どうやって確認すればいいのか? ここでは、実際に起きた事例をもとに、ジェネリック薬の回収がなぜ起こるのか、そしてあなたがすべき対応を分かりやすく解説します。
ジェネリック薬の回収はなぜ起きるのか?
ジェネリック薬の回収のほとんどは、製造過程での問題が原因です。米国食品医薬品局(FDA)のデータによると、2015年から2024年までの年間平均で323件の薬の回収が発生しており、その多くがジェネリック薬です。その中で最も一般的な原因は、製造基準の違反(CGMP違反)です。
たとえば、2025年4月、インドのグレンマーク・ファーマシューティカルズは、自社工場で製造した40種類以上のジェネリック薬を自主回収しました。対象となったのは、ウォルマートやアマゾンで販売されていたアセトアミノフェンやイブプロフェンの錠剤、セチリジン塩酸塩の錠剤などです。理由は、工場の設備が適切に清掃されていなかったり、品質検査が十分に行われていなかったりするなど、製造プロセスに問題があったからです。FDAはこの回収を「クラスII」に分類。つまり、一時的な健康被害の可能性はあるが、重篤な影響は低いと判断しました。
もう一つの大きな原因は、薬が体内で正しく溶けないという「溶出試験の不合格」です。薬は胃や腸で溶けてから吸収されます。もし溶けないなら、効果がまったく出ない可能性があります。2025年10月、サン・ファーマシューティカルズは、ADHD治療薬のジェネリック「ビバンセ」のカプセルを回収。2025年9月には、コレステロール薬のジェネリック「リピトール」14万瓶以上が回収されました。これらはすべて、薬が規定通りに溶けないという検査結果が出たためです。リピトールは米国で約4700万人が服用している薬。効果が半減すれば、心臓病や脳卒中のリスクが高まる可能性があります。
さらに、汚染も深刻な問題です。2025年10月には、ヒドロコドンとホマトロピンの液体薬が、容器に異物が混入していたとして回収されました。もっと大きな問題は、フェンタニルのパッチです。5000万枚以上が回収された理由は、パッチのシールが劣化して薬が漏れ出していたからです。これにより、薬が不足して効果が薄れるだけでなく、逆に大量に放出されて過剰摂取・死亡リスクが高まる恐れがあります。医師のジュリオ・ヌニェス氏は、この問題を「ラベルは正しいのに、中身が危険」と表現しました。
製造工場の多くは海外に集中している
なぜ、こんなに多くの問題が海外で起きるのでしょうか? 答えは、製造拠点の集中です。IQVIAの調査によると、2015年から2024年までの薬の回収の68.3%が、米国以外の工場で製造された薬が原因でした。そのうち、インドが42.7%、中国が残りの大部分を占めています。
米国は、自国内の工場を2~3年に1回はチェックしますが、海外の工場は、4~5年に1回の頻度でしか調査できません。インドや中国の工場は、大量生産を優先し、品質管理が手薄になるケースが少なくありません。特に、原料の調達や検査工程の記録が不十分な工場では、問題が見逃されがちです。
この状況に対応して、FDAは2023年から「GDUFA III」という新制度を導入。高リスクの海外工場の点検頻度を4.7年から2.3年に短縮しました。さらに、2026年までに、すべての輸入ジェネリック薬を「PREDICT」という予測システムで監視する計画です。しかし、まだ十分ではありません。回収の件数は、2023年から2024年にかけて22.6%増加しています。
回収された薬を手にしたとき、どうすればいい?
あなたの薬が回収されているかどうか、どうやって知ればいい?
まず、薬のパッケージに記載されている「ロット番号」と「有効期限」を確認してください。薬局の薬剤師は、回収情報と照合して、あなたのロット番号が該当するか自動でチェックしています。CVSやウォルマートなどの大手薬局では、2024年にクラスIIの回収で92.4%の患者に通知が届いています。しかし、18.7%の患者は通知を受け取っていないというデータもあります。だから、自分で確認することが大切です。
もし、あなたの薬が回収対象だった場合、次の4つのステップを守ってください。
- すぐに薬を飲むのをやめないでください。 特に、ADHDやうつ病、高血圧、コレステロールの薬などは、急にやめると体に大きな影響が出ます。たとえば、ビバンセを急にやめると、極度の疲労や抑うつ、症状の悪化が起こります。
- 薬局に連絡して、返品してください。 薬局では、同じ薬の交換や返金をしてくれます。ロット番号を伝えると、対象かどうかすぐに確認できます。
- メーカーに登録して、補償を受ける準備をしましょう。 製造元は、回収された薬の購入者に補償金を支払う場合があります。ロット番号を記録しておけば、後から請求できます。
- 体に異常が出たら、FDAのMedWatchプログラムに報告してください。 たとえば、頭痛、めまい、吐き気、皮膚の発疹などが起きたら、それが薬の問題かどうかを専門機関に知らせることで、他の人の命を守ることにつながります。
回収は経済にも大きな影響を与える
薬の回収は、患者だけでなく、製薬会社にも大きなダメージを与えます。1件の大きな回収で、平均4780万ドル(約70億円)の損失が出るとされています。その内訳は、薬の回収・処分に1230万ドル、売上の損失に2860万ドル、ブランドイメージの低下に690万ドルです。
2025年4月、グレンマークは回収発表後、株価が14.3%下がりました。サン・ファーマシューティカルズも、ビバンセの回収で9.7%下落。これらの企業は、今後、品質管理にさらに投資せざるを得ません。2025年1月には、テバ・ファーマ、バイアトリス、アポテックスなどの大手メーカーが「ジェネリック医薬品品質コンソーシアム」を設立。インドと中国に独立した品質検査センターを設け、2億8500万ドルを投じることを発表しました。
今後、どうなる?
ジェネリック薬の回収は、今後も減らないでしょう。製薬業界はコスト削減を優先し、海外生産を続けます。FDAの監視は進んでいますが、世界中の工場を完全にカバーするのは現実的ではありません。
だから、あなた自身が「安全の最後の砦」になる必要があります。薬を手にしたら、ロット番号と有効期限を必ずチェック。薬局で新しい薬をもらうたびに、「この薬は回収されていないか?」と聞いてみてください。薬剤師は、あなたの命を守るパートナーです。
ジェネリック薬は、安くて便利です。でも、それが「安いから安全」というわけではありません。正しく使えば、とても頼れる薬です。でも、見逃さないで、自分の手で確認する。それが、あなたとあなたの家族を守る第一歩です。
HIROMI MIZUNO
1月 6, 2026 AT 00:46ジェネリック薬って本当に頼りになると思ってたけど、回収の多さにビビった
でも薬局でロット番号チェックしてたら安心できるし、薬剤師に聞く習慣つけてよかった
みんなもちゃんと確認してね、命に関わるから
晶 洪
1月 7, 2026 AT 19:40海外製はダメ。日本製に戻せ。
naotaka ikeda
1月 8, 2026 AT 14:45回収の原因って、大抵が清掃不足や記録不備だよね。工場の現場が過労で手が回ってないのが本質的な問題。監査頻度上げても、人間が疲れてたら同じこと繰り返す。根本的な労働環境の改善が必要だと思う。
諒 石橋
1月 10, 2026 AT 02:23中国とインドに頼りすぎたのが間違い。日本はなぜ自国で製造しない?国産薬は高いって言うけど、命の価値は金で測れないだろ。政治家はもうちょっと責任持てよ。
risa austin
1月 10, 2026 AT 14:23本稿は、ジェネリック医薬品の品質管理に関する社会的課題を、統計的データと事例に基づき、極めて体系的に整理したものであり、読者に対する公共的責任の喚起という点で、極めて優れた啓発的文脈を有しております。
Taisho Koganezawa
1月 12, 2026 AT 01:36じゃあ、なぜFDAは海外工場の点検を増やさないのか? コスト? それとも利益? 製薬大手がロビー活動で規制を弱めている可能性はない?
回収が増えているのは、監視が甘いからじゃない。監視を意図的に緩めているからだ。この構造を変えるのは、消費者の声だけだ。